【臨床工学技術科より】ECMOって何!?
現在、全世界で新型コロナウイルスが流行しており、これに伴う重症呼吸不全となるとICU等で人工呼吸管理を含めた様々な治療が行われております。その中でもECMO(通称:エクモ)と呼ばれる装置が度々、メディアに取り上げられております。今回は、このECMOに関して簡単にご説明したいと思います。
ECMO(Extra Corporeal Membrane Oxygenation:体外式膜型人工肺)
自分の呼吸で肺に酸素を取り込めない場合に人工呼吸器を装着しますが、それでも肺に酸素が取り込めない時の治療法であり、新型コロナウイルス感染の重症呼吸不全に対しても使用されます。
【原理】 ・心臓手前から遠心ポンプにて血液を抜いて人工肺へ通す(青矢印) ・人工肺で血液中に酸素を供給し、二酸化炭素除去を行う ・血液を心臓へ戻し全身に酸素化された血液を送る(赤矢印) |
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The Society of Thoracic Surgeons HPより一部転載
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ECMOのメリットとデメリット
重症肺炎などで肺が機能不全である場合もECMOが代わりに酸素供給、二酸化炭素除去を行ってくれることで肺を休ませることができます。
ECMOの人工肺や回路内に血栓ができやすくなるため抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を投与しながら管理するため出血のリスクがあります。また、ECMO中はICUでの管理となり多くのスタッフが必要となります。
当院のECMOの体制
現在、当院ではECMOを4台所有しております。新型コロナウイルスが流行する以前より、重篤な呼吸不全等に対してECMOを使用しており、但馬救命救急センターの救急集中治療科医師、看護師、臨床工学技士、理学療法士を含めたスタッフを中心としECMO治療・管理を行っております。
日本でのECMO治療成績
2021年4月14日現在、日本COVID-19対策ECMO netの報告では、ECMO離脱:317例、死亡:183例、ECMO実施中:31例となっておりECMO救命率が第一波:69.5%、第二波:68.1%、第三波:64.5%となっております。
但馬救命救急センターでもCOVID-19重症患者1例にECMOの導入経験があり、救命に至っています。