【診療科紹介】 心臓カテーテル治療 (循環器内科)
豊岡病院 循環器内科 心臓カテーテル治療の紹介
《ロータブレーター》
ロータブレーターとは、定められた施設基準を取得した病院のみが使用できる、心臓カテーテル治療の器具であり、経皮的冠動脈形成術の1つです。
2020年4月より施設基準が緩和され、豊岡病院でも2020年11月より使用できるようになりました。カテーテルの先端にミクロダイヤモンドの粒が埋め込まれたバー(burr)と呼ばれる丸い金属のドリルを高速回転させることで、冠動脈内の石灰化病変を削り取ります。
このドリルの特徴は、硬くなった動脈硬化の1つである石灰化病変のみを削り、柔らかい部分(弾性組織)は削らない仕組みになっています。
一般的に動脈の健常な血管内壁は柔らかい(弾性組織)ため、つるつる滑るドリルによって損傷を与えにくくなります。
《ダイアモンドバック》
ダイアモンドバックも施設基準を取得している限られた病院のみが施行可能です。2019年2月より保険償還され、こちらも2020年4月の施設基準緩和により、当院でも2021年1月より使用できるようになった高度石灰化病変に対する治療器具です。
カテーテルの先端から数ミリのところに、ダイアモンドでコーティングされたクラウンと呼ばれる部分があり、この部分が高速回転することで石灰化病変を削ることができます。
こちらもロータブレーターと同様に、健常な柔らかい部分(弾性組織)は削れにくくなっており、血管を傷つけにくい構造となっています。ロータブレーターとの大きな違いは、ダイアモンドバックは高速回転する遠心力でより広い範囲を削ることができ、前方向だけで無く後方向に引いた際にも削ることができるというのが特徴です。
《豊岡病院での治療について》
2020年3月までは、ロータブレーターとダイアモンドバックは限られた施設でのみ使用可能でしたが、2020年4月からの施設基準緩和により、豊岡病院循環器内科でも新たに施設認定を受け、2020年11月よりロータブレーター、2021年1月よりダイアモンドバックによる治療が可能となっています。
当院では、ロータブレーター導入となった2020年11月~2021年9月の期間において、PCI(経皮的冠動脈インターべーション)施術は283件、その内ロータブレーターは72件、ダイアモンドバックは27件(併用9件)の治療実績があります。
この治療実績は、2020年4月の施設基準緩和以降の取扱い開始病院において、 全国1位 の治療実績となっています。(2021年9月現在)
ロータブレーターやダイアモンドバックによる高速回転式経皮的冠動脈形成術を施行するには習熟した手技が必要であり、豊岡病院でも限られた循環器内科医師のみが施術をしています。
また、すべての症例に対してロータブレーターやダイアモンドバックを施行する必要はなく、使用する対象となる患者さんは、冠動脈の石灰化が強く通常のバルーンやステント治療では十分な拡張が得られないことが予想される方です。
アンギオ画像や冠動脈CT、血管内イメージングなど様々な方法で石灰化の評価を行い決定しています。
〈 アンギオ操作室 〉
〈 治療風景 〉
これまで豊岡病院では、ロータブレーターやダイアモンドバックが必要な患者さんは、治療のため遠方の病院まで紹介となっていました。現在では豊岡病院で治療が完結できるようになったことから、患者さんへの治療の選択肢は広がっています。
今後も豊岡病院を受診される患者さんに満足いただける治療が提供できるよう、豊岡病院一丸となって、日々励んでまいります。